探究科1年次生 を対象とした「リレー探究」を実施しました。


~4つの教科・科目の視点から「新型コロナウイルス感染症」について考察する。~

 6月2日(水)および23日(水)の2日間にわたって、探究科1年次生を対象とした「リレー探究」を基礎探究の授業で実施しました。リレー探究で は、複数の教科・科目が同じテーマに沿った授業を順番に行い、それぞれの授業において各教科の見方・考え方をはたらかせながら課題を考察することにより、 多様な視点から課題を発見する力の育成を目 指しています。このたびのリレー探究のテーマは、「『新型コロナウイルス感染症』について考察する」で、4つの教科・科目の特徴を生かしながら、新型コロ ナウイルス感染症に関わる課題の発見に取り組みました。

 はじめに〝第1走″の理科(生物)の講座では、新型コロナウイルス感染症を防ぐために、私たちの体ではたらいている免疫について学んだ後、このた び初めて活用された技術に よってつくられたmRNAワクチンのはたらきについて理解を深めました。さらに、感染症を収束させるため、私たちの生活をどのように工夫していけばよいの か考察 しました。


新型コロナウイルス感染症について学ぶ

 

 続く〝第2走″の国語の講座では、かつて世界各地で猛威を振るった感染症である「ペスト」を扱った映画や小説を取り上げました。映画では、ウォル ト・ディズ ニー・カンパニーが作製した「美女と野獣」に感染症であるペストが描かれていることが紹介され、舞台とされている18世紀のパリに、感染症がまん延してい た 様子を映像で見ながら学びました。その後フランスの小説家アルベール・カミュの著作である「ペスト」を抜粋しながら読み進め、作品を通じてカミュが何を伝 えたかった のか考察しまし た。


小説「ペスト」(アルベール・カミュ著)に込められた作者の意図につい て考察する

 

 最後に〝アンカー″の家庭の講座では、厚生労働省の『新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」』に示されている感染防止の3つの基本から、「身体的 距離の確保」に着目し、生徒一人ひとりが日常生活においてソーシャルディスタンスを意識しているのか確かめました。講座では、普段の生活でとっている身 体的距離を紙テープで測った後、その距離と「新しい生活様式」に示されている 身体的距離である2mとを比較しました。


普段の生活において、それぞれの生徒がソーシャルディスタンスだと思っ ている距離を測る

 

 最後に実施した英語の講座では、理科(生物)、国語および家庭それぞれの講座で学んだ成果を英文にまとめました。まとめるときには、英文の展開を 意 識しながら、聞き手にとって分かりやすいものとなるよう留意しました。


理科(生物)、国語および家庭の講座で学んだ成果を英語を用いてまと める生徒

 

 すべての講座が終了した後に行った生徒対象のアンケート調査には、「同じトピックでも、教科ごとに内容が違っていたので、とてもおもしろ かった。」や「同じテーマであっても、違った視点で見ることで、見方や感じ方が変わることがよく分かった。これからは、いくつかの視点で見るように心がけ たい。」、「他人の意見をしっかり聞くことにより、自分の意見を改善できることに気付いた。」、「小説『ペスト』に描かれている心情が、私たちがコロナ禍 において感じていることに似ていて驚いた。」、「今回はそれぞれの教科の先生が話題を提供してくださったが、これからは自分たちの力で課題を見いだしてい きたいと思った。」、「教科の中に学びをとどめず、様々な教科のつながりを考えながら、学びを深めていきたいと思う。」等の感想が記されていました。課題 の発見 や解決のた めには、多様な見方・考え方をもつことが大切です。探究科1年次生の、これからの成長を期待しています。